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12月12日


海の底へ帰るまで


ほんの少しだけ

手を繋いでいられる


だからこんなに寂しい








こんなにも

あたたかい日だ


つばめも

飛んでいるだろう








なんでもなくなっていくのだ

悲しみも希望も

なんでもなくなって

薄れて消えていく


花の香りのように


私の感触も

ゆっくり消えていけばいい








もっともっと真っ直ぐに

落ちていけたらいいのに








今日は昨日より

少し澄んでいる


音のない場所に

近づいているから








世界でいちばんみじかい詩を

残して貴方は去っていった








いつか終わる


苦しみも悲しみも

夢も希望も


いまにだって

消えてしまえる



きれいな羽で

空を飛ぶ日が来る


白い空だけが

私を呼んでくれる








張りつめた鮮やかなトマト

その皮を箸で突き刺して

遊んでいる子供








みんな私を

ここまで連れてきてくれて

ありがとう


もう行くね


あの空の向こうに

水晶の森があるって

むかし言ったこと

まだ覚えてるかな


忘れても

ずっとそこにあるんだよ


大好きだったけど

氷の雨が降ってきたから

もう行かなくちゃ


雲はすぐ晴れるよ








メロンの甘さ


桃の香り


クリームの白さ




そんなものいらないから

透明でいさせて








人形に心はなくて


故人は喋らなくて


神様はいない


けど


私の中には友達がいる






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