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世界の九割九分は闇と妄想でできている だから、ねえ、現実を見ろ

気づいたら闇の中に居た

世界は言葉を持たない

感情と妄想が視界の全てだった

凍り付いた水素が震えている
光子が空から降り注ぐ
辺り一面銀色の幽霊が
真昼の太陽を透けて輝く

だから、ねえ、現実を見ろ


今この目に映るのは
世界のほんの一部でしかなくて
九割九分は闇に包まれている
目を閉じれば
さっきまで現実だったものは
砂のように記憶から流れ落ちていく

残るのは虚ろな妄想だけ


現実が見えない
こんなにも
こんなにも見えない
闇の中で生きている
妄想と現実の乖離が不安を生んで
当たり前のところで躓く
向かう先が分からない
私は
何もできない
妄想に縛られている



ああ 息が苦しい
生きているだけで苦しい
肉を捨てて一つの粒になって
陽射しの中で風に乗って
世界を眺めるだけの旅をしたい

泥よりももっと穢い
得体の知れないものが流れている
お互いの存在を区切るもの
それ以上の接近を阻むもの
不可侵の結界というよりも
存在の免罪符としての枷

寝ても覚めても付きまとう重さ







「推し、燃ゆ」という小説を読みました
とても良かったです

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