コメディです
「ういんういんういーん」
ゴーストタウンの人通り少ない歩道を、小さな電車が走っていた。
ダンボールの装甲には窓やライトの絵が描いてあるが、
それは電車と呼ぶにはあまりにもひ弱だった。
そもそも原動力が電力ではなく人力なので電車とは呼べない。
「ぷっぷー電車が通りますよ―危ないですよ―」
しかし、そんなことにはお構いなく、自称電車はとても楽しげに走っていた。
そして曲がり角に差し掛かろうとした時、角の死角から青年が飛び出してきた。
「うわっ!あぶなーい!」
「え?」
ドシャン、と派手にぶつかった小車両は、紙装甲をぐしゃぐしゃにして、
横向きに倒れこんでしまった。
青年は心配して駆け寄ってくる。
「きみ、大丈夫!?」
「ああ…どうしよう……ついにじんしんじこを起こしてしまった……
ダイヤはおおはばにみだれるし、もうクビだ……おしまいだ……」
「だ、だいじょうぶだよ!ほら、僕ならこんなぴんぴんしてるし、
今すぐ出発すれば時間にも間に合うって!」
車掌は恨めしそうに紙車体を持ち上げ、青年に見せつけた。
「こんなのでどうやって走れって言うのさ!
もうこんなの電車じゃないよ!ただの紙じゃないか!」
「最初から紙じゃないか……」
「んだとー!」
怒りに我を忘れた小さな車掌は、青年の足をぽかぽかと殴り始めた。
「お前のせいだぞ―!そんがいばいしょうをせいきゅうするー!」
「おい、俺は被害者だぞ」
「ひがいしゃであると同時にかがいしゃでもあるのがこのごじせいなんだよ!
うったえるぞ!うったえるぞ!」
「困ったなあ…じゃあこれやるよ。」
青年はポケットから飴玉を取り出し、少女に差し出した。
彼女はしばらくふくれつらでそれを見つめていたが、
突然サッと手を出したと思うと、次の瞬間には飴玉はもう口の中であった。
「今日のところはこれでかんべんしてやる」
「どうも」
「だがお前はかがいしゃだということをわすれないように」
「はいはい」
「はいは一回!」
「ハィ」
「なんだそのはいは!」
「半角カタカナ」
「ばかにしやがって!わたしだってそれぐらいできるぞ!」
「やってみてよ」
「ハぃ」
「全然出来てない!」
「ハぃィ」
「おしい!」
「ハェポ」
「なんか変なの混ざった!」
「ばかばかしい……」
「全くです」
「ういんういんういーん」
ゴーストタウンの人通り少ない歩道を、小さな電車が走っていた。
ダンボールの装甲には窓やライトの絵が描いてあるが、
それは電車と呼ぶにはあまりにもひ弱だった。
そもそも原動力が電力ではなく人力なので電車とは呼べない。
「ぷっぷー電車が通りますよ―危ないですよ―」
しかし、そんなことにはお構いなく、自称電車はとても楽しげに走っていた。
そして曲がり角に差し掛かろうとした時、角の死角から青年が飛び出してきた。
「うわっ!あぶなーい!」
「え?」
ドシャン、と派手にぶつかった小車両は、紙装甲をぐしゃぐしゃにして、
横向きに倒れこんでしまった。
青年は心配して駆け寄ってくる。
「きみ、大丈夫!?」
「ああ…どうしよう……ついにじんしんじこを起こしてしまった……
ダイヤはおおはばにみだれるし、もうクビだ……おしまいだ……」
「だ、だいじょうぶだよ!ほら、僕ならこんなぴんぴんしてるし、
今すぐ出発すれば時間にも間に合うって!」
車掌は恨めしそうに紙車体を持ち上げ、青年に見せつけた。
「こんなのでどうやって走れって言うのさ!
もうこんなの電車じゃないよ!ただの紙じゃないか!」
「最初から紙じゃないか……」
「んだとー!」
怒りに我を忘れた小さな車掌は、青年の足をぽかぽかと殴り始めた。
「お前のせいだぞ―!そんがいばいしょうをせいきゅうするー!」
「おい、俺は被害者だぞ」
「ひがいしゃであると同時にかがいしゃでもあるのがこのごじせいなんだよ!
うったえるぞ!うったえるぞ!」
「困ったなあ…じゃあこれやるよ。」
青年はポケットから飴玉を取り出し、少女に差し出した。
彼女はしばらくふくれつらでそれを見つめていたが、
突然サッと手を出したと思うと、次の瞬間には飴玉はもう口の中であった。
「今日のところはこれでかんべんしてやる」
「どうも」
「だがお前はかがいしゃだということをわすれないように」
「はいはい」
「はいは一回!」
「ハィ」
「なんだそのはいは!」
「半角カタカナ」
「ばかにしやがって!わたしだってそれぐらいできるぞ!」
「やってみてよ」
「ハぃ」
「全然出来てない!」
「ハぃィ」
「おしい!」
「ハェポ」
「なんか変なの混ざった!」
「ばかばかしい……」
「全くです」
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