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昔の125

私と言葉について




私達にとって本当のこととは何だろう。

それは言葉だろうか。
それとも感覚だろうか。

まず先に感覚があって、
見える世界や聞こえる世界があって、
言葉はそれの模造だろうか。

でも、言葉がない世界に私達は居られるだろうか。
言葉なしで、私達は自分に気付けるだろうか。
言葉なしで、私達は考えられるだろうか。

何かを思い出そうとするとき、
どうやって思い出せばいいだろう。
どうやって思い出したのかを
どうやって伝えればいいだろう。

私達がずっと一人なら、きっと言葉なんて必要なかった。
私がずっと一人なら、私である必要もなかったんだ。

だから貴方と分かれた私は言葉の中でしか生きられなくて。
私達にとっては言葉だけが本当のことだった。




そう思っていたんだけど。



だから私は寂しかったのかもしれない。


今の私に浮かんでくる言葉はいつもたった一つで。

それは、私の全てだというにはあまりに小さくて。

いくら言葉を繋いでみたところで、

それが私だという感覚は掴めなくて。


物語を描くことは出来なかった。





全てに意味があると思っていた。
全部言葉にできると思ってたんだ。

生きる理由も
良いことも悪いことも
面白い物語も
好きな人も

みんな最初は同じもので
ちゃんと意味があるんだって思ってた。

意味が無いなら
それを言葉に出来ないなら
もうそれは要らないものだって思ってたんだ。



だから私は寂しくて
私には何も無くて




でも、もう
諦めてしまってもいいのかな

私なんてもともといなくて
言葉に意味なんてもともと無くて

感じられるものが全てで
それに理由なんて求めなくてよくて

気持ちを言葉に出来なくても
それが存在しないことにはならなくて

物語を描けなくても
独りぼっちだってことにはならなくて

言葉以外にも
通じ合う方法はいくらでもあって


そうだね

そうだったかもしれない

これまで私だと思っていたものは
意味のない言葉で作られた幻で

本当の私は
もっとずっと豊かで

本当の世界は
もっとずっと明るくて



そうか だったら私も
少しは貴方に近付けるかな

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