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昔の73






ねっとりとした世界が私に纏わりつく。
右手を力いっぱい振り回しても、こびりついたそれは全く離れる気配もない。
足もぶらぶら揺らしてみる。
重い。
重心が先の方にあるのが分かる。
この私を縛るものは、どうすれば取れるのだろう。
どこへ行けば外せるだろう。
どこか遠くへ行けば何か分かるかもしれない。
いつの間にか無くなっているかもしれない。
そう思って歩き続けた私の身体には、ますます多くの鎖が巻きついたのだった。
そして今、私は小さな村の前に立っていた。

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