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昔の43

全てが消えても




冷たい空気が私をそっと包んでゆく。
青い一筋の光がまっすぐに差し込み、暗い床を照らす。
私に見えるのは、闇と、その無機質な光だけ。
ああ、ここでは何も意味をなさない。
私の身体は既に無く、ただ意識だけが浮かんでいる。
光があるから闇がある。
右手を光に照らして見る。
青い光は私の手をすり抜け、床に当たり、弾けた。
でも、私の右手はここにある。
私がいるから。
右手は確かにここにある。
光はゆっくりと弱まり、床は青を失ってゆき、やがて消えた。
それでも、私だけは、残った。
私の中には確かにまだ私がいた。
光が消え、闇が消え、全てが消えても、私は残った。
そこにいた。
私は全てを失ったが、また全てを手にできる気がした。
私はまた何でも創り出せる。
私がいる限り。
私が、私の中にいる限り。

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