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昔の80

とりとめのない会話




「僕は50人を殺した代わりに100人を救った。
 さて、僕は悪だろうか。」




「私は蚊も殺せないの。」
「どうして?」
「だって、命はみんな平等じゃないの?
 だったら、蚊を殺すことは
 人を殺すことと同じじゃないの?」
「そんなことない。
 命が平等なんて誰が決めたんだ?
 私たちがただ呼吸をするだけで、
 莫大な数のバクテリアが死ぬんだ。」




「命の価値なんてどうやって計れる?
 そもそも命に価値なんてあるのか?」
「命に価値がないとしたら、
 いったい何に価値があると言うんです?」
「自分だ。そうだ、訂正しよう。
 自分以外の命に価値なんてあるのか?」
「価値ってなんなんでしょうね。」




「答えなんてありますか?
 もしあったとしても、人間は必ずしも
 それに従う必要はないんじゃないでしょうか。
 正しく生きないとだめですか?
 生きるってもっと単純なことだと思ってました。」




「みんな誰かに呪われてるんだ。
 誰かを呪わずにはいられなくなる呪いだ」
「何言ってるんですか?
 私は誰にも呪われてませんよ」




「わかったよ。
 何が正義で、何が悪なのか。」
「なんなんです?」
「生きることが正義だ。
 死ぬことが悪だ。
 こんな簡単な話だったんだ。」
「じゃあみんな、
 最初は善人で最後は悪人なんですね。」




「眼に見えないもののほうが断然多いんですよ。」
「霊的な話?」
「小さすぎて見えないものとか、
 大きすぎて見えないものとか。」
「音とか、匂いとか?」
「そうですね。でもそれは聴覚と嗅覚で感じられます。
 五感で感じられないものは、私達にとって
 この世に無いのと同じなんですよね。
 私達が感じないだけで、実はすぐ近くに
 なにかすごいものがあるのかもしれません。」
「概念は五感で感じられないね。」




「答えは『分からない』だ。
 今のままじゃ情報が足りない。
 十分な情報なんて、どうやったって集まらないだろう。
 世の中こんなのばっかりだ。
 だから誰も、正しいことができない。」

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