異界はすぐ隣にあるよ
かつて、世界は神秘に満ち溢れていた。
誰も見たことのない生物。
誰も聞いたことのない音。
誰も行ったことのない場所。
不可思議な超常現象。
決して手の届くことのない空の果て。
それが今はどうだろう。
もはやこの地球上に、人間が立ったことのない場所はない。
それどころか、もはや家に居ながら、世界中の様子を隈なく調べ尽くすことができるのだ。
まったく浪漫も情緒もあったものではない。
私が求めているのは、まだ誰も経験したことのないような魅惑的な冒険。
それにふさわしい舞台は、もうこの星には存在しない。
そうだ、宇宙へ行こう。
とは言っても、そんなお金があるわけでもなし。
やはりこの案は現実的ではない。
ロマンを求める冒険に現実味を求めるという、なんとも矛盾した思考をしてしまう
自分の平凡な脳が恨めしいが、仕方のない事だ。
もっと現実に歩み寄った夢を。
日常と幻想の境界線上を目指して。
三十分間考え続けて、ついに私は怜悧たる名案を思いついた。
そうだ、まだこの世界中の誰も行ったことのない場所があったじゃないか。
誰も見たことのない場所が、こんなにも近くにあるじゃないか。
交通費はいらない。時間もかからない。
この部屋からたった数歩歩くだけで到達できる、でもまだ誰も知らない場所。
窓を開け、空を見上げる。
数カ月ぶりに見た太陽は、相変わらず小さかった。
かつて、世界は神秘に満ち溢れていた。
誰も見たことのない生物。
誰も聞いたことのない音。
誰も行ったことのない場所。
不可思議な超常現象。
決して手の届くことのない空の果て。
それが今はどうだろう。
もはやこの地球上に、人間が立ったことのない場所はない。
それどころか、もはや家に居ながら、世界中の様子を隈なく調べ尽くすことができるのだ。
まったく浪漫も情緒もあったものではない。
私が求めているのは、まだ誰も経験したことのないような魅惑的な冒険。
それにふさわしい舞台は、もうこの星には存在しない。
そうだ、宇宙へ行こう。
とは言っても、そんなお金があるわけでもなし。
やはりこの案は現実的ではない。
ロマンを求める冒険に現実味を求めるという、なんとも矛盾した思考をしてしまう
自分の平凡な脳が恨めしいが、仕方のない事だ。
もっと現実に歩み寄った夢を。
日常と幻想の境界線上を目指して。
三十分間考え続けて、ついに私は怜悧たる名案を思いついた。
そうだ、まだこの世界中の誰も行ったことのない場所があったじゃないか。
誰も見たことのない場所が、こんなにも近くにあるじゃないか。
交通費はいらない。時間もかからない。
この部屋からたった数歩歩くだけで到達できる、でもまだ誰も知らない場所。
窓を開け、空を見上げる。
数カ月ぶりに見た太陽は、相変わらず小さかった。
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