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昔の8

うーん、ってなるオチ。




キノは何やら大きな機械を作っていた。

何をする機械なのか聞いてみると、部屋を勝手に掃除してくれるロボットを作っているのだと言う。

「まだちょっとだけ調整不足なところもあるけど、ほとんど完成だよ。使ってみる?」
私は丁重に断った。
キノの作った物を使って、ロクな目にあったためしがない。
ましてや未完成なものなんて何が起きるか想像もつかないが、とにかく目も当てられない状況になるのは目に見えている。

「そっか。あたしの製作を邪魔しないように遠慮してくれてるんだね。優しいなあ!出来上がったらすぐに使わせてあげるね!」
「・・・ありがとう。でもゆっくり作っていいからね。」
「うん、分かってる!手は抜きたくないからね~。」

私はキノのもとを離れると、キノに気づかれないよう静かに掃除を始めた。
今日の分を終わらせておけば、とりあえず今日はあの機械を使わずに済む。

箒とチリとりでごみを集め、雑巾で床をふき、窓を拭き、棚をふき・・・
次はトイレに行こうかというところで、背後から声がした。

「ビィィッン!ビィィッン! サイズAノゴミヲハッケン サイズAノゴミヲハッケン  タダチニハイジョシマス」

え・・・?
後ろを振り向くと、さっきキノが作っていた機械が私の後ろに立っていた。
両腕を伸ばし、私をつかもうとする。
私はとっさに後ずさり、トイレに入り鍵を閉めた。

ところが、なんと奴はあっさりと鍵を開け、ドアを開こうとした。
私は必死にドアを引っ張ったが、ロボットの力には敵わなかった。
窓から出ようか、と思ったが、トイレの窓は小さすぎて出られそうにもない。
気づけば奴の両腕はもう眼前に迫っていた。

もうだめだ!

・・・ロボットの両腕に持ちあげられる私・・・
そしてロボットの口の中に入れられ、落とされる・・・
落ちてきた私の全身をごみや虫が包む・・・
ほこり、生ごみ、蟻、ゴキブリ・・・

「うわああああああっ!」

ロボットの腕は私の頭に近づくと・・・小さな埃をつまみあげた。

「・・・へ?」

去っていくロボット。
唖然とする私。

そこへキノがやってきた。

「あっ、アスカぁ~どう?今度のロボットは、なかなか使えるでしょ?」
「・・・・・・」
「ん?どうしたの?」
「いや・・・うん。便利かもね。」
「でしょ!?いやー、アスカがほめてくれたのは久しぶりだなー!あれは苦労したんだよ、ほんとに!特に、ごみを見分けるところが難しくてさあ…」

いつものがいつものだからつい警戒してしまったけど、今回のはなかなか良くできてるみたいだ。
キノも頑張ってるみたいだし、偏見を持ちすぎてたかな、と反省する。
もっと客観的に評価してあげないといけないな。

「ビィィッン!ビィィッン! サイズSノゴミヲハッケン! サイズSノゴミヲハッケン!  タダチニハイジョシマス!」
鋼鉄の腕の先には、ソファに座っていたキョウコが…



おわり

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