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昔の10

人物の書き分けってどうすればいいんだろうと思った回
新キャラ出ます




じっと周りを観察していたキノが、ふとこちらを振り返った。
「どうやら道に迷ったらしいね。」
あっけらかんと言うキノ。

「迷ったみたいじゃないでしょうが!あんたがこの辺の道はよく知ってるって言うから私らついてきたんだぞ!?」
「ごっめんごめん。紅葉があんまり綺麗だったもんだからついぼーっとしちゃってさぁ」
「つい、じゃないよ!つい、じゃ!これからどうすんのさ!」
「まあ落ち着きたまえマーサ君。大丈夫。こんなことはこれまでにも何度もあったのだよ。」

なんでちょっと自慢げなんだろう。

「いい?こういうときは、闇雲に下ろうとしちゃいけないの!川に沿って下ろうなんてもってのほかだよ!」
「なんで?」
「川の近くは険しい崖や斜面が多くて危険だからね。流されちゃうかもしれないし」
「ふーん。じゃあどうするの?」
「もちろん、上に登るんだよ!」
「えー!疲れるよ?下りようよー。登ったってまた下りなきゃいけないじゃん。」
「まーったく、初心者さんはこれだから困りますねー。あのね、下りれば下りるほど、山裾は広がっていくんだから、道に戻れなくなる可能性が上がるの!山頂は一つしかないんだから、登って行けば必ず道に戻れるんだよ!分かった!? うん、分かった!」

私の右腕をつかんで無理矢理あげるキノ。

「そんじゃ、登ろっか!」
そこまで言われては仕方ない。私は座っていた岩から腰を上げた。

キノはずんずん先へ進んでいく。
枝をかき分け、クモの巣を払い、ときどき周りを見て何かを確認する。
30分ほど歩いても、キノは疲れたそぶりも見せない。
私はというと、もう汗だくで息は切れ、足もガクガクだった。

「キノー。少し休もうよー。」
「え?まだ歩き始めたばっかりじゃん。」

こいつの時間感覚はどうなってるんだ。

「もう疲れたよー」
「もう、しょうがないなあ。」

てことで少し休んだけれど、またすぐに出発した。
早くしないと日が暮れるのだと言う。
まだ全然明るいんだけどな・・・

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