57の続き
いつものごとく途中で飽きます
カーテンから漏れ出てくる朝光で目が覚めた。
手で時計を探り、見てみるともう10時を過ぎていた。
目覚ましは7時にセットしていたはずだったのだが、どうやら無意識に止めてしまったようだ。
まだはっきりしない頭のままベットから降り、立ち上がる。
薄暗い部屋の中、足元には雑多な本やペットボトルが散らばっている。
俺は昨日来た誰かのことを考えていた。
名前も知らない彼女の事が、どうしてそんなに気になるのか、自分でも分からなかった。
俺は悪いことをしたなと思った。
俺は昨日、初めて人を拒絶したのだった。
人に去られる側ではなく、人を去る側になったのだった。
どちらにしても、結局すぐ別れることになるのだから、同じなのだから、そんなに気にする必要はないと思うのに、どうしても俺はそのせいで胸に何か重いものが詰まったような気持ちになり、立っていることもままならないのだった。
今日からまた、一人で起き、一人でご飯を作り、一人で洗濯し、一人で遊び、一人で寝る毎日が始まる。
俺はそれが嫌いではないはずだった。
しかし、俺はもうどうしても、そこから動くことができないのだった。
どれくらい経っただろう。
俺はずっと、薄暗い部屋の中、ベットに腰かけていた。
ふと左手に暖かさを感じて見てみると、カーテンから漏れた赤い光がちょうど手に降り注いでいた。
俺はハッとした。
どうしてこれまで、こんなところに籠っていたのだろう。
すぐ外には、暖かく、明るい光が満ち溢れていると言うのに、どうしてこんな、薄ら寒い、暗い部屋で過ごしていたのだろう。
恐れることは無い。
陽は一度沈んだとしても、また明日になれば昇ってくるじゃないか。
毎日はその繰り返しじゃないか。
人生はずっと、その繰り返しだったじゃないか。
そう思った時、俺は、俺の部屋のドアを開けていた。
「おはようございます。」
果たして、彼女はそこにいた。
大きな窓から夕陽をいっぱいに取り込んだダイニングルームに彼女は笑顔で立っていた。
キラキラと黄金に光るテーブルの上には、パンやコーヒーやサラダやベーコンエッグやコンソメスープや、とにかくありとあらゆる朝食のメニューが並んでいた。
「ど、どうして……?」
「そろそろ起きてこられる頃だと思いまして。」
彼女はまた、にっこりと笑った。
「そうじゃない。どうして君がまだいるんだ?昨日出て行ったんじゃなかったのか?」
「どうして私が出て行くんです?」
そのままの笑顔で彼女が聞く。
しかしその顔には、悲哀とも歓喜とも判別の付かない、およそ見たことのない表情の一片が、薄い絹の布のように覆いかぶさっていた。
「だって、俺が昨日あんなことを言ったのに……」
「
いつものごとく途中で飽きます
カーテンから漏れ出てくる朝光で目が覚めた。
手で時計を探り、見てみるともう10時を過ぎていた。
目覚ましは7時にセットしていたはずだったのだが、どうやら無意識に止めてしまったようだ。
まだはっきりしない頭のままベットから降り、立ち上がる。
薄暗い部屋の中、足元には雑多な本やペットボトルが散らばっている。
俺は昨日来た誰かのことを考えていた。
名前も知らない彼女の事が、どうしてそんなに気になるのか、自分でも分からなかった。
俺は悪いことをしたなと思った。
俺は昨日、初めて人を拒絶したのだった。
人に去られる側ではなく、人を去る側になったのだった。
どちらにしても、結局すぐ別れることになるのだから、同じなのだから、そんなに気にする必要はないと思うのに、どうしても俺はそのせいで胸に何か重いものが詰まったような気持ちになり、立っていることもままならないのだった。
今日からまた、一人で起き、一人でご飯を作り、一人で洗濯し、一人で遊び、一人で寝る毎日が始まる。
俺はそれが嫌いではないはずだった。
しかし、俺はもうどうしても、そこから動くことができないのだった。
どれくらい経っただろう。
俺はずっと、薄暗い部屋の中、ベットに腰かけていた。
ふと左手に暖かさを感じて見てみると、カーテンから漏れた赤い光がちょうど手に降り注いでいた。
俺はハッとした。
どうしてこれまで、こんなところに籠っていたのだろう。
すぐ外には、暖かく、明るい光が満ち溢れていると言うのに、どうしてこんな、薄ら寒い、暗い部屋で過ごしていたのだろう。
恐れることは無い。
陽は一度沈んだとしても、また明日になれば昇ってくるじゃないか。
毎日はその繰り返しじゃないか。
人生はずっと、その繰り返しだったじゃないか。
そう思った時、俺は、俺の部屋のドアを開けていた。
「おはようございます。」
果たして、彼女はそこにいた。
大きな窓から夕陽をいっぱいに取り込んだダイニングルームに彼女は笑顔で立っていた。
キラキラと黄金に光るテーブルの上には、パンやコーヒーやサラダやベーコンエッグやコンソメスープや、とにかくありとあらゆる朝食のメニューが並んでいた。
「ど、どうして……?」
「そろそろ起きてこられる頃だと思いまして。」
彼女はまた、にっこりと笑った。
「そうじゃない。どうして君がまだいるんだ?昨日出て行ったんじゃなかったのか?」
「どうして私が出て行くんです?」
そのままの笑顔で彼女が聞く。
しかしその顔には、悲哀とも歓喜とも判別の付かない、およそ見たことのない表情の一片が、薄い絹の布のように覆いかぶさっていた。
「だって、俺が昨日あんなことを言ったのに……」
「
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