桜と話す
春になると私は毎日桜を見に行きます。
それぐらいしかすることがないからです。
今日の桜は八分咲といったところでした。
じっくり花を見つめて、幹をなでて、
風に揺れる枝の音を聞いて、春の空気をそっと吸いこんで、
それから静かに幹にもたれて座り込みます。
そして少しお話をするのです。
声に出すわけではありませんが、心の中で話しかけます。
桜が答えてくれるわけはありませんが、それでいいのです。
「今日は昨日よりも暖かいね」
「朝はパンとチーズを食べたの」
「今日の夕御飯は何かなあ」
「折り紙の本を買ってもらったの」
「桜の花も折れるようになるからね」
「明日見せてあげる」
「あーこんなとこに蟻の巣がある」
「いつもの猫いないなあ」
「わっ面白い石だよこれ」
「いい天気だねー……」
がやがやという喧騒で目を覚ましました。
公園の時計を見るともうお昼をまわっていました。
近所の子達が遊びに来る時間です。
「それじゃ、また明日来るからね」
私は逃げるように家へ帰りました。
春になると私は毎日桜を見に行きます。
それぐらいしかすることがないからです。
今日の桜は八分咲といったところでした。
じっくり花を見つめて、幹をなでて、
風に揺れる枝の音を聞いて、春の空気をそっと吸いこんで、
それから静かに幹にもたれて座り込みます。
そして少しお話をするのです。
声に出すわけではありませんが、心の中で話しかけます。
桜が答えてくれるわけはありませんが、それでいいのです。
「今日は昨日よりも暖かいね」
「朝はパンとチーズを食べたの」
「今日の夕御飯は何かなあ」
「折り紙の本を買ってもらったの」
「桜の花も折れるようになるからね」
「明日見せてあげる」
「あーこんなとこに蟻の巣がある」
「いつもの猫いないなあ」
「わっ面白い石だよこれ」
「いい天気だねー……」
がやがやという喧騒で目を覚ましました。
公園の時計を見るともうお昼をまわっていました。
近所の子達が遊びに来る時間です。
「それじゃ、また明日来るからね」
私は逃げるように家へ帰りました。
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