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昔の65

アスカとキノ




「うわっ、なんだこれ!?」
アスカが叫んだ。
服がなびく。
私たちの立っている地面の穴から、暖かい風が吹き出ていた。
「わあ、あったかいね。」
私は言った。
かじかんでいた手を風に当てて、良く揉みほぐした。
「暖かいのは良いけど、どうしてこんなとこから風が?」
雲ひとつない空が突然藍色に塗り替えられ、小さな星が光りながら降ってきた。
私はその一つを手に乗せた。
こんなに小さいのに、不思議と風に飛ばされない。
まるで生き物のような温かさがあった。
アスカは不思議そうにこちらを見ている。
何がそんなに気になるのだろう。
遥か遠くに並んでいた山々が、ぐんぐん伸びていき、私たちの周りを囲った。
凝縮された空から、星屑が滝のように降ってきた。
そのどれもがキラキラと七色に輝き、ゆっくり回転しながら落ちてゆく。
視界が完全に光で満たされたその時、私は宙に浮き、何も見えなくなり、一人になった。

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