アリスシリーズはここまでです
終わり方も考えていたんですが結局書けませんでした
自分でもほんと無いなあって思います
ずっと夢を見ていた。
今もまだ夢を見ている。
いつかのガラスの欠片が宙を舞う。
日差しを浴びてしまって姿を隠せなくなった埃みたいに、
所在無さげにふわふわと漂っている。
砕かれた、かつての私の名残りだ。
あなたの足が止まった。
視界の上端に、白とも黄とも橙ともつかない色で光る、大きな壁が見える。
私達は光源らしきものの前にまでやって来たようだった。
そしてあなたは私の手を取り、壁の中へ進んでいく。
私は思わず前を向いてあなたの体を見つめた。
とても眩しいはずなのに、壁に飲まれていくあなたの姿ははっきり見えた。
壁はすこしも動かず、ただ静かにあなたを受け入れた。
あなたは遂に腕だけになって私を壁の向こうへ引っ張った。
私は意を決し、目を閉じて前へ歩みだした。
ぐにょん、という妙な感触が指の先から腕へと進み、
それから全身をスキャンするように横切っていった。
「お姉さん!連れてきたよー!」
目を開くと、そこは大聖堂を思わせるような広いドーム状の空間だった。
半径100mはあろうかという、怖いくらいに伽藍とした場所。
その中央にたった一人、あの人はぽつんと立っていた。
------------------------------------------------------------
我思う、故に我あり。
私の中の誰かが私に語りかける。
私は確かにここに存在している。
でも、その証明は私にしか通用しない。
どんなに言葉を尽くしても、体に触れても、
私の存在の証明にはならない。
私はずっとその方法を模索していた。
アリスちゃんと過ごした時間の殆どをそのために費やした。
それでもアリスちゃんには届かなかった。
だからもう、それは諦めて、逆にする。
あなたに私の存在を伝えるのではなく、あなたの存在を私が消す。
あなたの自我が存在しないのなら、私に自我が無くても問題ない。
あなたは私を認めざるをえないはずだ。
-------------------------------------------------------------
「井出 愛理澄です。愛と呼んでください」
それだけ言ってあいつは席についた。
わたし達に何かを伝えようという意志は感じられない。
事務的に、言うべきことを言っただけという印象だった。
僅かな沈黙の後、まばらな拍手がぱらぱらと起こった。
その後にわたしが立って何か話したはずなのだが、全く覚えてない。
ただその不思議なクラスメートのことを考えていた。
見れば見るほど奇妙な子だった。
まず目につくのはその奇抜な服装だ。
うちの中学は珍しく私服なのだが、だからといって
ドレスを着てくる子はそうそういない。
肩を優に超えるほど長い髪には大きなリボンが付けられている。
顔はよく見えないが、休み時間にちらっと見た感じでは
恐ろしいほどの美形のようだった。
あまりに整いすぎていて、およそ現実のものとは思えないくらいだった。
そんなあいつは誰の自己紹介もまるで聞く素振りを見せず、ずっと俯いて
なにやら机の中を探っている。
おそらく、後ろの席の私だけに見えただろう。
机の中にはあいつそっくりの人形があった。
終わり方も考えていたんですが結局書けませんでした
自分でもほんと無いなあって思います
ずっと夢を見ていた。
今もまだ夢を見ている。
いつかのガラスの欠片が宙を舞う。
日差しを浴びてしまって姿を隠せなくなった埃みたいに、
所在無さげにふわふわと漂っている。
砕かれた、かつての私の名残りだ。
あなたの足が止まった。
視界の上端に、白とも黄とも橙ともつかない色で光る、大きな壁が見える。
私達は光源らしきものの前にまでやって来たようだった。
そしてあなたは私の手を取り、壁の中へ進んでいく。
私は思わず前を向いてあなたの体を見つめた。
とても眩しいはずなのに、壁に飲まれていくあなたの姿ははっきり見えた。
壁はすこしも動かず、ただ静かにあなたを受け入れた。
あなたは遂に腕だけになって私を壁の向こうへ引っ張った。
私は意を決し、目を閉じて前へ歩みだした。
ぐにょん、という妙な感触が指の先から腕へと進み、
それから全身をスキャンするように横切っていった。
「お姉さん!連れてきたよー!」
目を開くと、そこは大聖堂を思わせるような広いドーム状の空間だった。
半径100mはあろうかという、怖いくらいに伽藍とした場所。
その中央にたった一人、あの人はぽつんと立っていた。
------------------------------------------------------------
我思う、故に我あり。
私の中の誰かが私に語りかける。
私は確かにここに存在している。
でも、その証明は私にしか通用しない。
どんなに言葉を尽くしても、体に触れても、
私の存在の証明にはならない。
私はずっとその方法を模索していた。
アリスちゃんと過ごした時間の殆どをそのために費やした。
それでもアリスちゃんには届かなかった。
だからもう、それは諦めて、逆にする。
あなたに私の存在を伝えるのではなく、あなたの存在を私が消す。
あなたの自我が存在しないのなら、私に自我が無くても問題ない。
あなたは私を認めざるをえないはずだ。
-------------------------------------------------------------
「井出 愛理澄です。愛と呼んでください」
それだけ言ってあいつは席についた。
わたし達に何かを伝えようという意志は感じられない。
事務的に、言うべきことを言っただけという印象だった。
僅かな沈黙の後、まばらな拍手がぱらぱらと起こった。
その後にわたしが立って何か話したはずなのだが、全く覚えてない。
ただその不思議なクラスメートのことを考えていた。
見れば見るほど奇妙な子だった。
まず目につくのはその奇抜な服装だ。
うちの中学は珍しく私服なのだが、だからといって
ドレスを着てくる子はそうそういない。
肩を優に超えるほど長い髪には大きなリボンが付けられている。
顔はよく見えないが、休み時間にちらっと見た感じでは
恐ろしいほどの美形のようだった。
あまりに整いすぎていて、およそ現実のものとは思えないくらいだった。
そんなあいつは誰の自己紹介もまるで聞く素振りを見せず、ずっと俯いて
なにやら机の中を探っている。
おそらく、後ろの席の私だけに見えただろう。
机の中にはあいつそっくりの人形があった。
コメント
コメントを投稿