シリアスが書きたかったのかな
「もうすっかり冬なんだねぇ。」
私は窓の外を見ながら言った。
数えきれないほどの白い粒が森の中を舞っている。
森といっても、今はただの枯れ木の集まりだ。
「そうですよ。今日はたいせつだって言ったじゃないですか。」
「だから、何が大切なのさっ!」
「えっ?」
ヒナカは不思議そうに私の顔を見た。
そして直後、くすくすと笑い始めた。
「な、なにがおかしいのさ」
「たいせつって言うのはですね、春分とか冬至とかと同じ、
二十四節気のうちのひとつで、『大雪』って書くんです。
雪が激しく降り始め、鰤などの冬の魚の漁が盛んになり、熊が冬眠に入り、
南天の実が赤く色付くころです。
それが、今日なんですよ。」
「へ?……あ、ああ、なあんだ、そうだったの。
もう!なんか私がバカみたいじゃない!」
ヒナカはまた不思議そうにこちらを見る。
「なにさ。」
「……バカでしょう?」
「おまえーーーっ!!」
「もう冬だねぇ。」
「冬ですねぇ。」
私たちはパンにチーズを乗せて焼いたものを暖炉の前で食べながら、窓の外を見ていた。
「ねえ、ヒナカ。」
「なんですか?」
「冬は好き?」
「好きです。」
「そっか。」
わたしは嬉しかった。
「ヒナカも冬が好きなんだ。」
「ユウも好きですか?」
「好き。私はね……ずっと、冬だったらいいなって思うの。」
「それは困りますね。」
ヒナカは微笑んだ。
「作物が育ちませんよ。」
「温室で育てればいいじゃない。」
「海の家が商売あがったりですよ。」
「スケート場でも開けばいいじゃない。」
「私が旅に出られませんよ。」
「――ねえ、ヒナタ。」
私はパンを食べるのをやめ、ヒナタの顔を見た。
「どうしても、ずっとここにいるわけにはいかないの?」
ヒナタも手を降ろし、パンを皿へ戻した。
「運命には、逆らえないものです。」
「そんなの、私が変えてみせるよ!」
「それが、あの人の意思なら……
わたしは、それに従うしかありません。」
「それは……」
私は黙ってしまった。
どうしたらいいのか、わからなかった。
「心配ありません。また、冬になれば戻ってきます。」
ヒナタはこっちを向いて、にっこりと笑った。
「……ずいぶん笑顔が上手になったね、ヒナタ。」
まるで……
「ヒナタは日々進歩していますから。」
ヒナタは、どこへ行くのだろう。
「もうすっかり冬なんだねぇ。」
私は窓の外を見ながら言った。
数えきれないほどの白い粒が森の中を舞っている。
森といっても、今はただの枯れ木の集まりだ。
「そうですよ。今日はたいせつだって言ったじゃないですか。」
「だから、何が大切なのさっ!」
「えっ?」
ヒナカは不思議そうに私の顔を見た。
そして直後、くすくすと笑い始めた。
「な、なにがおかしいのさ」
「たいせつって言うのはですね、春分とか冬至とかと同じ、
二十四節気のうちのひとつで、『大雪』って書くんです。
雪が激しく降り始め、鰤などの冬の魚の漁が盛んになり、熊が冬眠に入り、
南天の実が赤く色付くころです。
それが、今日なんですよ。」
「へ?……あ、ああ、なあんだ、そうだったの。
もう!なんか私がバカみたいじゃない!」
ヒナカはまた不思議そうにこちらを見る。
「なにさ。」
「……バカでしょう?」
「おまえーーーっ!!」
「もう冬だねぇ。」
「冬ですねぇ。」
私たちはパンにチーズを乗せて焼いたものを暖炉の前で食べながら、窓の外を見ていた。
「ねえ、ヒナカ。」
「なんですか?」
「冬は好き?」
「好きです。」
「そっか。」
わたしは嬉しかった。
「ヒナカも冬が好きなんだ。」
「ユウも好きですか?」
「好き。私はね……ずっと、冬だったらいいなって思うの。」
「それは困りますね。」
ヒナカは微笑んだ。
「作物が育ちませんよ。」
「温室で育てればいいじゃない。」
「海の家が商売あがったりですよ。」
「スケート場でも開けばいいじゃない。」
「私が旅に出られませんよ。」
「――ねえ、ヒナタ。」
私はパンを食べるのをやめ、ヒナタの顔を見た。
「どうしても、ずっとここにいるわけにはいかないの?」
ヒナタも手を降ろし、パンを皿へ戻した。
「運命には、逆らえないものです。」
「そんなの、私が変えてみせるよ!」
「それが、あの人の意思なら……
わたしは、それに従うしかありません。」
「それは……」
私は黙ってしまった。
どうしたらいいのか、わからなかった。
「心配ありません。また、冬になれば戻ってきます。」
ヒナタはこっちを向いて、にっこりと笑った。
「……ずいぶん笑顔が上手になったね、ヒナタ。」
まるで……
「ヒナタは日々進歩していますから。」
ヒナタは、どこへ行くのだろう。
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