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昔の44

キノとアスカ再び




「――アスカ!」
改札に手をかけていたアスカの動きが止まる。
そして、無表情のまま、ゆっくりと振り返った。
「……キノ」
「アスカ、どこへ行くの!?」
「どうしてここが?」
「マーサに聞いた」
「…あいつ……言うなって言ったのに…」
「ねえ、どこ行くの!?答え――」
ジリリリリリ――――
電車の発車を告げるベルがホームに鳴り響き、
キノの声は掻き消された。
「……、―――……」
アスカが何かをつぶやく。
「えっ?何、アスカ?」
アスカはポケットから何かを取り出し、キノの後ろへ投げた。
キノは投げられたものを見た。
紙切れを丸めたものだった。
「ちょっとアスカ、どういう――」
キノが再び振り返った時、アスカはそこにいなかった。
電車のドアが、今まさに閉まろうとしていた。
「あっ、アスカ!アスカ!!アスカァァァーーーー!!!」
動きだした電車の中に、キノはアスカの姿を見た。
じっと横を向き、こちらを見ようともしない。
電車は轟音をあげて走り出し、アスカの姿も見えなくなり、
やがて駅はすっかり静かになった。
「アスカ……どうして……」
キノはぐったりと、その場に座り込んだ。

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