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昔の126

最後の時間とわたし達




こうやって体を寄せ合っていると
あったかくて

空は真っ暗で
星も見えなくて

風は静かに
わたし達の体を撫でていくけど

それ以外には何もなくて

言葉が足りないと思ったから

一緒に遊んだ木の幹や
一緒に聴いた波の音を

必死に思い出そうとしたけれど


きみも何も言わないから

きっときみも忘れてしまったんだろう


あたたかさを背中に感じたまま
わたし達は空を見上げる

きれいな流星群が
この時を壊しに来るのを待っている


きみがきみである保証も
わたしがわたしである保証も

その名残すらどこにもないけど

いつも変わりたがっていたわたし達だから
ずっと前へ進みたがっていたわたし達だから

そんなことはいまさらだったよね


裸のまま世界の果てで目を閉じて
巨大な光がふたりを包んで…

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