マーサのキャラがちょっと気に入ったから
今日は年に一度の、松の剪定の日だ。
私たちの家の庭には、大きな松の木が一本ある。
先代が植えて遺して行ったものだ。
別に私のものではないのだけれど、アスカはこういう作業は嫌いらしいので、剪定は私がすることになっている。
私はというと、実は剪定の時を毎年少し楽しみにしている。
一日作業にはなるけれど、やり終えた後の達成感はなかなか味わえないものだ。
剪定が終わった後に松を眺める時なんて、ずっとこのまま眺めていたいとさえ思う。
そういうわけで、私は物置から脚立とハサミをいそいそと取り出し、早速剪定にかかろうとした。
今アスカは散髪に出かけたので、静かに作業ができる。
木全体をじっくり眺め、剪定後の姿を思い描く。
そして、切る枝を見定め、脚立に登ろうとしたその時だった。
ジリリリリリリ!ジリリリリリリリ!
客だ。
私はハサミを置き、玄関まで歩いて行った。
「はーい。」
「あ、こんにちはー。」
訪ねてきたのはマーサだった。
「アスカいる?」
「いない。あと一時間は帰ってこないと思う。」
「ふうん。出かけてるんだ。じゃあ中で待ってていい?」
「どうぞご自由に。」
マーサは中に入っていった。
私は松の木へ戻る。
もう一度木全体を見回し、いざ切ろうと脚立に登ろうとした時、
視線に気づいた。
振り返るとマーサが大窓からこっちを見ていた。
これから何をするのか興味津津といった顔だ。
私は無視して再び松のほうに向きなおった。
ハサミを持ち、脚立に登る。
見られているけど、気にしなければ問題ない。
枝を切っていく。
切る枝はもう完全に把握しているので、迷いはない。
当然順調に進んでいく…はずだったのだけど
「これが松というものか」
私は振り返った。
マーサだ。
気にせず作業を続ける。
「なるほど木の成長を阻害する枝を切っているのだな。
地球人の知恵もなかなか捨てたものではない…
しかし、それならばその枝ではなくその右の枝が良いのではないか?
我が理論によれば枝を切る最適解は日光の照射面積を考慮し…」
…うるさい。
私は脚立から降り、窓を開けた。
「何か他にやることないの?そこらへんにある本読んでもいいけど」
「地球人の書いたものなど読んでも面白くないわ」
「地球人のやること見てるのは面白いの?」
「生態観察だ。」
「本を読むのも生態観察になると思うんだけど…」
「運動エネルギーが低下してきた。食物を摂取しなければならない。」
「運動エネルギーの使い方間違ってるぞ」
「地球人の使い方が間違ってるのだ」
とりあえず、何か食べたいらしい。
私は家に上がり、紅茶とお菓子を出してやった。
アスカのやつだけど、非常事態だから仕方ないだろう。
アスカがいないせいでこんなことになったんだし。
「おまえは食べないのか?」
食べるわけないだろ。
庭に降りて剪定を再開する。
「ほう、この嗜好品、完成度はもはや芸術品と言えるな。
人間そのものの精度はもはやファジィという域を超えているが、
機械を利用し最高品質の製品を大量生産するという発想は称賛に値する。
加えてこの抽出液…」
お前の星には工場も無いのか。どうやってここまで来たんだ。
「うるさいんだけど、ちょっと黙っててくれない?」
「まあそう言わずに、一緒に食べないか?なかなかの美味だぞ。」
「食べないっての」
「まあそう言わずに」
「食べない」
「まあそう言わずに」
「食べない」
「まあそう…」
「分かったよ!もう!!食べるよ!」
なんなんだこいつは。
諦めて、自分の紅茶を淹れてくる。
ついでにアスカのお菓子も、もう少しだけ失敬した。
「全く、今日は忙しいからこんなことしてる暇ないってのに…」
「え、そうなの?
暇だから木いじってたんじゃないの?」
「あのねえ…大事な仕事なんだよ?
あの松だって大事な松だし」
「へぇー。じゃあ後で手伝ってあげよっか?」
「いい。一人でやりたいから。」
「私の助けを断るとは…大した奴だな。」
二重人格なのか?
半時間ぐらいして、用事を思いだしたとかでマーサは帰って行った。
今日は年に一度の、松の剪定の日だ。
私たちの家の庭には、大きな松の木が一本ある。
先代が植えて遺して行ったものだ。
別に私のものではないのだけれど、アスカはこういう作業は嫌いらしいので、剪定は私がすることになっている。
私はというと、実は剪定の時を毎年少し楽しみにしている。
一日作業にはなるけれど、やり終えた後の達成感はなかなか味わえないものだ。
剪定が終わった後に松を眺める時なんて、ずっとこのまま眺めていたいとさえ思う。
そういうわけで、私は物置から脚立とハサミをいそいそと取り出し、早速剪定にかかろうとした。
今アスカは散髪に出かけたので、静かに作業ができる。
木全体をじっくり眺め、剪定後の姿を思い描く。
そして、切る枝を見定め、脚立に登ろうとしたその時だった。
ジリリリリリリ!ジリリリリリリリ!
客だ。
私はハサミを置き、玄関まで歩いて行った。
「はーい。」
「あ、こんにちはー。」
訪ねてきたのはマーサだった。
「アスカいる?」
「いない。あと一時間は帰ってこないと思う。」
「ふうん。出かけてるんだ。じゃあ中で待ってていい?」
「どうぞご自由に。」
マーサは中に入っていった。
私は松の木へ戻る。
もう一度木全体を見回し、いざ切ろうと脚立に登ろうとした時、
視線に気づいた。
振り返るとマーサが大窓からこっちを見ていた。
これから何をするのか興味津津といった顔だ。
私は無視して再び松のほうに向きなおった。
ハサミを持ち、脚立に登る。
見られているけど、気にしなければ問題ない。
枝を切っていく。
切る枝はもう完全に把握しているので、迷いはない。
当然順調に進んでいく…はずだったのだけど
「これが松というものか」
私は振り返った。
マーサだ。
気にせず作業を続ける。
「なるほど木の成長を阻害する枝を切っているのだな。
地球人の知恵もなかなか捨てたものではない…
しかし、それならばその枝ではなくその右の枝が良いのではないか?
我が理論によれば枝を切る最適解は日光の照射面積を考慮し…」
…うるさい。
私は脚立から降り、窓を開けた。
「何か他にやることないの?そこらへんにある本読んでもいいけど」
「地球人の書いたものなど読んでも面白くないわ」
「地球人のやること見てるのは面白いの?」
「生態観察だ。」
「本を読むのも生態観察になると思うんだけど…」
「運動エネルギーが低下してきた。食物を摂取しなければならない。」
「運動エネルギーの使い方間違ってるぞ」
「地球人の使い方が間違ってるのだ」
とりあえず、何か食べたいらしい。
私は家に上がり、紅茶とお菓子を出してやった。
アスカのやつだけど、非常事態だから仕方ないだろう。
アスカがいないせいでこんなことになったんだし。
「おまえは食べないのか?」
食べるわけないだろ。
庭に降りて剪定を再開する。
「ほう、この嗜好品、完成度はもはや芸術品と言えるな。
人間そのものの精度はもはやファジィという域を超えているが、
機械を利用し最高品質の製品を大量生産するという発想は称賛に値する。
加えてこの抽出液…」
お前の星には工場も無いのか。どうやってここまで来たんだ。
「うるさいんだけど、ちょっと黙っててくれない?」
「まあそう言わずに、一緒に食べないか?なかなかの美味だぞ。」
「食べないっての」
「まあそう言わずに」
「食べない」
「まあそう言わずに」
「食べない」
「まあそう…」
「分かったよ!もう!!食べるよ!」
なんなんだこいつは。
諦めて、自分の紅茶を淹れてくる。
ついでにアスカのお菓子も、もう少しだけ失敬した。
「全く、今日は忙しいからこんなことしてる暇ないってのに…」
「え、そうなの?
暇だから木いじってたんじゃないの?」
「あのねえ…大事な仕事なんだよ?
あの松だって大事な松だし」
「へぇー。じゃあ後で手伝ってあげよっか?」
「いい。一人でやりたいから。」
「私の助けを断るとは…大した奴だな。」
二重人格なのか?
半時間ぐらいして、用事を思いだしたとかでマーサは帰って行った。
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