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昔の59

ナンセンス詩です




洞窟の奥底にあったのは、牢獄か、それとも聖域か。
二重扉の向こうにうごめく音は、不意に視界を奪ってゆく。
力の限り叫んだ冷凍ピックが断末魔とともに張り裂ける。
神々しいまでに冒涜的に籠城者のベールが剥がれおちる。
地下であると同時に空中であったシェルターは機能を失う。
落ちる、落ちる。浮かぶ、浮かぶ。
色が爆発する。色が飛び散る。知恵の輪が曲がる。鏡の破片が降ってくる。
思考トンネルの果てに見えたのは青く光る水晶の草原だった。
腕が蒸発する。翼が溶ける。体が光に満たされる。
気象衛星も遂に燃料を使い果たし、愛しい恋人に別れを告げる。
もう、なにもかもが、ひとつになる。
ひとつになって、おちてゆく。うかんでゆく。
高層ビルは、天まで届く。

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