お嬢様と執事と友達の話
ノリで書いていたので続きません
「執事!お魚釣りに行くわよ!」
「かしこまりました。すぐに用意をいたしましょう。」
執事と姫は北へ二キロの大池へ釣りに行くことにした。
その池は犬神池と呼ばれており、神聖な場所とされている。
その場所に近づくことができるのは、国から許可を受けた者だけなのだ。
「またあそこなの?たまには違う場所に行きたいわ。海とか。」
「お嬢様、海は危険です。海岸へ近付くと、あっという間に巨大なサメやヘビやクマがたくさん寄ってきて、決して逃れることはできません。」
「海に熊なんかいるの?」
「いますよ。ウミグマといって、海も泳げるし陸も走れる万能熊です。額に紅い模様があるのです。」
「ええー。怖い。じゃあ海はやめましょう。」
「それがよろしいかと。」
「それじゃあ川はどう?」
「日本の川は流れが速くて危険なのです。日本人の死亡要因の第二十三位は、川での溺死です。」
「うーん、それも怖いわね……」
そのとき、姫の頭の上についているランプが赤く点灯した。
「お嬢様、お客様です。」
「いつも疑問に思うんだけど、なんであんたそんなことが分かるの?」
「お迎えに行って参ります。」
執事は部屋を出て行った。
窓から春の陽気をいっぱいにふくんだすがすがしい風が吹き込み、カーテンをなびかせた。
姫はその様子をぼんやりと眺めていた。
カーテンは次々にその形を変え、彼女を飽きさせなかった。
「お嬢様、幸一さまがお見えになりました。お通ししますか?」
「いいわよ。」
少しして、幸一と執事が部屋に入ってきた。
「おーい姫ー。なにやってんだー?」
「わたしはね、今カーテンを見ていたのよ。」
「ん?カーテン?見てて面白いのか?」
「お、面白くなんかないわよ!暇すぎて死にそうだったから見てただけ!」
「お嬢様は、これから釣りにお出かけなさろうとしていたのです。」
「おー釣りかー!いいなぁ、行こうぜー!」
「いいけど、邪魔しないでよ?」
「では幸一さまの分も用意してまいります。」
こうして、姫、幸一、執事の三人は犬神池へ釣りに出かけた。
しかし、この選択が、平和な彼女たちの日常を大きく揺るがすことになるのであった…
「余計な脚色は付けなくていいですよ、記録係さん?」
執事が黒木(私)に向かって冷たく言い放った。
その瞳の色は、先程まで姫たちに向けられていたものとは全く違う。
それはまるで、ポケットに入れられたまま洗濯された千円札を見るような眼であった。
「うっわー、でっけー湖だなー、しかも水がすっごいきれいだ……こんな処がまだこの近くにもあったんだな……」
犬神池を見て、幸一がつぶやいた。
「一般には公開されていませんからね。ごみも捨てられていないし、古くからの生態系も守られているのです。」
「湖じゃなくて池よー。」
「何が違うんだ?」
「えっ、えーと、ほ、ほら執事!教えてやりなさいよ!」
「まあ簡単に申し上げますと、人工のものが池、天然のものが湖ですかね。でも天然のものにも湖と沼があって、水底に植物が生えているのが沼、生えていないのが湖というのが大まかな定義です。しかし地名はもっと適当に付けられていますね。ダムなんかでも平気で○○湖なんて呼ばれていますし。」
「ふぅーん。」
「へえ。」
執事はビーチパラソルを広げ、椅子を置いた。
そのあいだ姫と幸一はつりざおに餌と浮きをつけていた。
「こんなおもちゃで魚が釣れるのか?」
幸一がルアーを針につけながら言う。
「おもちゃ?もしかして幸一ちゃん、釣りしたことないのー?」
姫もルアーをつけようとしながら言う。
にやにや笑って、あからさまに嬉しそうである。
「いや、俺はいつもミミズとか付けてやってるから……」
ルアーも浮きも付け終えて幸一が言う。
「はあ!?ミミズ!?そんなんで釣れるわけないじゃない!気持ち悪い!」
まだルアーを針につけようとしながら姫が言う。
「気持ち悪いかもしれないけど、魚は釣れるんだよ…ほら、つけてやろうか?」
幸一が姫へ向けて手を差し出した。
それを見て、べっと舌を出す姫。
「あんたにやってもらわなくても、自分でできるわよ!何回も釣りに来てるのよ!」
「毎回私につけさせていたでしょう、お嬢様。お貸しください。」
執事は釣り場の準備を終えて姫の後ろに立っていた。
そしてさっと姫の手から釣竿とルアーを奪い取る。
「あっ!もう!自分でやるって言ってるのに!」
「はいはい、また次にお願いしますね。」
「むー……」
そのときであった。
そんなに遠くもないところから、ガンという鈍い音が聞こえてきた。
人の頭をコンクリートで殴ったような音だった。
「あれ、なにか変な音しなかった?」
「そうだな。」
二人がそう言って周りを見回した時、既に執事はそこにいなかった。
姫はハッと目を見開いた。そして、戦慄した。
昨日の恐ろしく不吉な占いのことを思い出したのだ。
「スランプ状態に陥り……集中力DOWN……
意地を張らず……素直に助けを求めよう……」
「うん?」
「おまじないは……靴に防水スプレーをかける…… 」
「は?」
「ラッキーポイントは……行き止まりの路地」
「何の話?」
「わたしね、昨日の朝、『目ざましテレビ』を見てたの。」
「えっ」
「そしたら星座占いやっててね、ふたご座が最下位だったの。」
「昨日の話だろ?」
「あっ、そうか。」
「内容もあんまり関係ないし。」
「そうだね。」
「そもそも姫はおとめ座だろ?」
「えへへ。」
「おまえは時々わけわかんないこと言うよな……」
「なによ!あんたのほうがわけわかんないでしょ!」
「ほんとわけわかんねーよ……」
しかし、その時幸一は気付いていなかった。
今日が日曜日だということに……。
ノリで書いていたので続きません
「執事!お魚釣りに行くわよ!」
「かしこまりました。すぐに用意をいたしましょう。」
執事と姫は北へ二キロの大池へ釣りに行くことにした。
その池は犬神池と呼ばれており、神聖な場所とされている。
その場所に近づくことができるのは、国から許可を受けた者だけなのだ。
「またあそこなの?たまには違う場所に行きたいわ。海とか。」
「お嬢様、海は危険です。海岸へ近付くと、あっという間に巨大なサメやヘビやクマがたくさん寄ってきて、決して逃れることはできません。」
「海に熊なんかいるの?」
「いますよ。ウミグマといって、海も泳げるし陸も走れる万能熊です。額に紅い模様があるのです。」
「ええー。怖い。じゃあ海はやめましょう。」
「それがよろしいかと。」
「それじゃあ川はどう?」
「日本の川は流れが速くて危険なのです。日本人の死亡要因の第二十三位は、川での溺死です。」
「うーん、それも怖いわね……」
そのとき、姫の頭の上についているランプが赤く点灯した。
「お嬢様、お客様です。」
「いつも疑問に思うんだけど、なんであんたそんなことが分かるの?」
「お迎えに行って参ります。」
執事は部屋を出て行った。
窓から春の陽気をいっぱいにふくんだすがすがしい風が吹き込み、カーテンをなびかせた。
姫はその様子をぼんやりと眺めていた。
カーテンは次々にその形を変え、彼女を飽きさせなかった。
「お嬢様、幸一さまがお見えになりました。お通ししますか?」
「いいわよ。」
少しして、幸一と執事が部屋に入ってきた。
「おーい姫ー。なにやってんだー?」
「わたしはね、今カーテンを見ていたのよ。」
「ん?カーテン?見てて面白いのか?」
「お、面白くなんかないわよ!暇すぎて死にそうだったから見てただけ!」
「お嬢様は、これから釣りにお出かけなさろうとしていたのです。」
「おー釣りかー!いいなぁ、行こうぜー!」
「いいけど、邪魔しないでよ?」
「では幸一さまの分も用意してまいります。」
こうして、姫、幸一、執事の三人は犬神池へ釣りに出かけた。
しかし、この選択が、平和な彼女たちの日常を大きく揺るがすことになるのであった…
「余計な脚色は付けなくていいですよ、記録係さん?」
執事が黒木(私)に向かって冷たく言い放った。
その瞳の色は、先程まで姫たちに向けられていたものとは全く違う。
それはまるで、ポケットに入れられたまま洗濯された千円札を見るような眼であった。
「うっわー、でっけー湖だなー、しかも水がすっごいきれいだ……こんな処がまだこの近くにもあったんだな……」
犬神池を見て、幸一がつぶやいた。
「一般には公開されていませんからね。ごみも捨てられていないし、古くからの生態系も守られているのです。」
「湖じゃなくて池よー。」
「何が違うんだ?」
「えっ、えーと、ほ、ほら執事!教えてやりなさいよ!」
「まあ簡単に申し上げますと、人工のものが池、天然のものが湖ですかね。でも天然のものにも湖と沼があって、水底に植物が生えているのが沼、生えていないのが湖というのが大まかな定義です。しかし地名はもっと適当に付けられていますね。ダムなんかでも平気で○○湖なんて呼ばれていますし。」
「ふぅーん。」
「へえ。」
執事はビーチパラソルを広げ、椅子を置いた。
そのあいだ姫と幸一はつりざおに餌と浮きをつけていた。
「こんなおもちゃで魚が釣れるのか?」
幸一がルアーを針につけながら言う。
「おもちゃ?もしかして幸一ちゃん、釣りしたことないのー?」
姫もルアーをつけようとしながら言う。
にやにや笑って、あからさまに嬉しそうである。
「いや、俺はいつもミミズとか付けてやってるから……」
ルアーも浮きも付け終えて幸一が言う。
「はあ!?ミミズ!?そんなんで釣れるわけないじゃない!気持ち悪い!」
まだルアーを針につけようとしながら姫が言う。
「気持ち悪いかもしれないけど、魚は釣れるんだよ…ほら、つけてやろうか?」
幸一が姫へ向けて手を差し出した。
それを見て、べっと舌を出す姫。
「あんたにやってもらわなくても、自分でできるわよ!何回も釣りに来てるのよ!」
「毎回私につけさせていたでしょう、お嬢様。お貸しください。」
執事は釣り場の準備を終えて姫の後ろに立っていた。
そしてさっと姫の手から釣竿とルアーを奪い取る。
「あっ!もう!自分でやるって言ってるのに!」
「はいはい、また次にお願いしますね。」
「むー……」
そのときであった。
そんなに遠くもないところから、ガンという鈍い音が聞こえてきた。
人の頭をコンクリートで殴ったような音だった。
「あれ、なにか変な音しなかった?」
「そうだな。」
二人がそう言って周りを見回した時、既に執事はそこにいなかった。
姫はハッと目を見開いた。そして、戦慄した。
昨日の恐ろしく不吉な占いのことを思い出したのだ。
「スランプ状態に陥り……集中力DOWN……
意地を張らず……素直に助けを求めよう……」
「うん?」
「おまじないは……靴に防水スプレーをかける…… 」
「は?」
「ラッキーポイントは……行き止まりの路地」
「何の話?」
「わたしね、昨日の朝、『目ざましテレビ』を見てたの。」
「えっ」
「そしたら星座占いやっててね、ふたご座が最下位だったの。」
「昨日の話だろ?」
「あっ、そうか。」
「内容もあんまり関係ないし。」
「そうだね。」
「そもそも姫はおとめ座だろ?」
「えへへ。」
「おまえは時々わけわかんないこと言うよな……」
「なによ!あんたのほうがわけわかんないでしょ!」
「ほんとわけわかんねーよ……」
しかし、その時幸一は気付いていなかった。
今日が日曜日だということに……。
コメント
コメントを投稿