楽しい小説の書き方講座
「う-ん、うーん。」
「なに悩んでるの?」
「あのね、今小説を書こうとしてたの。」
「あんたが?まさかぁ。」
「なんでそんなこと言うの!」
「だってあんた箸より重いものは持てないんでしょ。」
「ワープロで書くの!」
「いまどきワープロって……」
「そんでね、どんな風に書くかが決まらなくってね、」
「どんな風にって何?普通に書けばいいじゃん。」
「普通って何さ!」
「普通に、ほら……指でキーボードを打って……」
「そういうことじゃないの!」
「違うんだ。」
「だからね、会話中心で書くか地の文を中心に書くかとかさ、どの視点で書くかとか。」
「してん?」
「第三者視点か登場人物視点か、とか。」
「一点透視図法か二点透視図法か、とか。」
「それちがう」
「消失点はどこにするか、とか。」
「絵の描き方じゃないんだよ!」
「違うの?とか。」
「それでね、わたしは会話中心って言うか、会話だけの方が圧倒的に書きやすいんだけど、でもそれだと安っぽい小説になっちゃうかなぁって思うの。」
「なるね。」
「でも地の文を中心にすると書きにくいしさぁ、つまんないんだよね。」
「あーたしかに。」
ハルカは大きくうなずいた。
過去にそういう文章を呼んだが、あまりにつまらなくて2ページも読む前に眠ってしまったのを思い出したのだ。それはまだプロローグだったから、そこから面白くなっていったのかもしれないが、続きを読もうという気にはなれなかった。
やはり、読む方にとっても、会話は多いほうがいい。
その旨を伝えると、ナツカは少し嫌な顔をした。
そして、彼女は昨今の読者の国語力の低下を嘆き、ハルカにもっと過去の名作を読むように勧めた。
ハルカにとってはいい迷惑だったが、そうやってアドバイスしてくれるのは嬉しかったので、素直にうなずいた。
ナツカはそこで本来の話題を思い出し、今度は視点について語りだした。
「でも地の文中心にするとね、誰の視点で話が進んでるかって言うのを常に考えておかないといけないの。」
「おなかすいたなぁー」
「例えばね、Aさんの心情を書いたとするでしょ、そうしたら、もう他の人の心情は書けないわけ。Aさんの視点になってるから。もうBさんの心情は書けないの。」
「そりゃ新庄は一人だしねー。」
「第三者視点って言って、どの登場人物でもない、傍観者の視点で書くこともできるけど……それでも、たくさんの人の心情を一緒に書くのは、なんていうか、お行儀が悪いっていうか、マナー違反なんだよね。」
「えっ、じゃあ今の……」
「うん、じゃあやっぱり会話中心の方が書きやすいよねー。よし、そうしよう。」
「ああ、そうだね。そのほうがいいね。」
「さて、どんな話にしようかなー。」
「ストーリーを先に決めるの?」
「うーん。キャラクターを先に決めるっていう手もあるけどね。キャラさえ決めとけば、後はキャラが勝手に動いて話を作ってくれる、みたいな。でも私には無理かな。」
「なんで?」
「キャラの性格をうまく固められないんだよね。なんか、みんな同じ感じになっちゃってさ。会話だけだと誰が話してるのかわかんなくなっちゃうみたいな。」
「ああ……なるほど……」
「だから、ストーリーでぐいぐい引っ張って行くしかないんだよねー。」
「じゃあさ、双子ってことにしちゃえば?」
「え?」
「だったら、性格が似てても変じゃないし。」
「でも、出てくる人は二人だけじゃないよ、十人ぐらいはいるよ。」
「じゃあ十つ子ってことでいいじゃない。」
「そっか。私たちも双子だしね。」
「そうそう。ハルカは春に産まれて、ナツカは夏に産まれたのかと思いきや、実は二人とも秋に産まれた、みたいな。」
「みたいな、っていうの、好きだね。」
「まだ一回しか言ってないけど。」
「あっ、そっか、最初のは私が言ったんだった!」
「あはは!」
「あはは!」
「う-ん、うーん。」
「なに悩んでるの?」
「あのね、今小説を書こうとしてたの。」
「あんたが?まさかぁ。」
「なんでそんなこと言うの!」
「だってあんた箸より重いものは持てないんでしょ。」
「ワープロで書くの!」
「いまどきワープロって……」
「そんでね、どんな風に書くかが決まらなくってね、」
「どんな風にって何?普通に書けばいいじゃん。」
「普通って何さ!」
「普通に、ほら……指でキーボードを打って……」
「そういうことじゃないの!」
「違うんだ。」
「だからね、会話中心で書くか地の文を中心に書くかとかさ、どの視点で書くかとか。」
「してん?」
「第三者視点か登場人物視点か、とか。」
「一点透視図法か二点透視図法か、とか。」
「それちがう」
「消失点はどこにするか、とか。」
「絵の描き方じゃないんだよ!」
「違うの?とか。」
「それでね、わたしは会話中心って言うか、会話だけの方が圧倒的に書きやすいんだけど、でもそれだと安っぽい小説になっちゃうかなぁって思うの。」
「なるね。」
「でも地の文を中心にすると書きにくいしさぁ、つまんないんだよね。」
「あーたしかに。」
ハルカは大きくうなずいた。
過去にそういう文章を呼んだが、あまりにつまらなくて2ページも読む前に眠ってしまったのを思い出したのだ。それはまだプロローグだったから、そこから面白くなっていったのかもしれないが、続きを読もうという気にはなれなかった。
やはり、読む方にとっても、会話は多いほうがいい。
その旨を伝えると、ナツカは少し嫌な顔をした。
そして、彼女は昨今の読者の国語力の低下を嘆き、ハルカにもっと過去の名作を読むように勧めた。
ハルカにとってはいい迷惑だったが、そうやってアドバイスしてくれるのは嬉しかったので、素直にうなずいた。
ナツカはそこで本来の話題を思い出し、今度は視点について語りだした。
「でも地の文中心にするとね、誰の視点で話が進んでるかって言うのを常に考えておかないといけないの。」
「おなかすいたなぁー」
「例えばね、Aさんの心情を書いたとするでしょ、そうしたら、もう他の人の心情は書けないわけ。Aさんの視点になってるから。もうBさんの心情は書けないの。」
「そりゃ新庄は一人だしねー。」
「第三者視点って言って、どの登場人物でもない、傍観者の視点で書くこともできるけど……それでも、たくさんの人の心情を一緒に書くのは、なんていうか、お行儀が悪いっていうか、マナー違反なんだよね。」
「えっ、じゃあ今の……」
「うん、じゃあやっぱり会話中心の方が書きやすいよねー。よし、そうしよう。」
「ああ、そうだね。そのほうがいいね。」
「さて、どんな話にしようかなー。」
「ストーリーを先に決めるの?」
「うーん。キャラクターを先に決めるっていう手もあるけどね。キャラさえ決めとけば、後はキャラが勝手に動いて話を作ってくれる、みたいな。でも私には無理かな。」
「なんで?」
「キャラの性格をうまく固められないんだよね。なんか、みんな同じ感じになっちゃってさ。会話だけだと誰が話してるのかわかんなくなっちゃうみたいな。」
「ああ……なるほど……」
「だから、ストーリーでぐいぐい引っ張って行くしかないんだよねー。」
「じゃあさ、双子ってことにしちゃえば?」
「え?」
「だったら、性格が似てても変じゃないし。」
「でも、出てくる人は二人だけじゃないよ、十人ぐらいはいるよ。」
「じゃあ十つ子ってことでいいじゃない。」
「そっか。私たちも双子だしね。」
「そうそう。ハルカは春に産まれて、ナツカは夏に産まれたのかと思いきや、実は二人とも秋に産まれた、みたいな。」
「みたいな、っていうの、好きだね。」
「まだ一回しか言ってないけど。」
「あっ、そっか、最初のは私が言ったんだった!」
「あはは!」
「あはは!」
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