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昔の122

渦の中




流れとよどみ。
小さな粒は繋がって線になり、
線は絡まり合ってまた粒になる。
私達は粒でも線でもなく、
いつもその遷移の中にいる。
私達の幸せも、
きっとその渦の中にある。

言葉が千切れていく。
壁がゆっくりと私を覆う。
鈍い色が身体を侵す。

短く弦を揺らす。
ここには冷たく爽やかな風も
気持ちのいい真っ直ぐな太陽も
安心できる確かな土もない。
だから私はここにいられる。
ここでだけ私は私でいられる。
現実感は夢の中にしか無い。

一度、何もかも忘れて。
暗く蒼く深い海の底へ
沈んでしまえばいいのかもしれない。
私はひどく不安定で
でもほんとうに悲しかったのは
それを知ってしまったことだった。

死にたいという声が聞こえて
生きたいという声が聞こえて
関係の無い声が聞こえて
優柔不断な声が聞こえる
私の中は声で溢れていて
一つに纏まることは決してない
素直に生きるということは
とてもとても難しいこと

現実は私の中にあって
私は私をまだ知らない
だから解りきったことの中に現実は無くて
得体の知れない私がまた現実へ帰っていく
私達は永遠にその遷移の中で
幸せもきっとその中にある

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